外国人雇用
特定技能外国人を採用・雇用する前に知っておきたいポイント
2021.07.26
2021.12.02
高野国際行政書士事務所/外国人材紹介エージェント Global Village
代表 高野 大輔(たかの だいすけ)
商社とメーカーで海外営業15年を経て、地元茨城県で国際行政書士として起業。人手不足という地域課題を解決するべく、茨城特定技能サポートセンターを運営。外国人実習雇用士。
目次
在留資格「特定技能」とは?
特定技能とは、2019年4月に創設された新しい在留資格です。日本国内において「人手不足と認められる14の業種」で、外国人の就労が解禁されました。特定技能には、1号と2号の区分があり、滞在年数上限や利用できる産業分野に違いがあります。
今回は、そんな「特定技能」外国人を雇用する前に知っておきたいポイントや受け入れる際の注意点を解説していきます。「特定技能」について更に詳しく知りたい方は、以下もあわせてご確認ください。
「特定技能ビザ」取得のための試験について│特定技能の要件や申請の流れ
「特定技能」と「技能実習」の違い
特定技能は技能実習と同じように1号・2号と分かれている等似ている部分はありますが、それぞれの目的や趣旨は明確に違います。
違いについては以下の表の通りです。
「特定技能」外国人の対象職種は?
現在の特定技能外国人の対象職種は以下14分野となっております。また、分野によって更に細かく職種が定められています。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子情報関連産業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
※現在の対象業種は上記記載の14業種ですが、今後人材不足の業種で特定技能外国人が適切な業務に従事できる事が認められれば追加される可能性があります。
詳しくはこちらの記事をご確認ください。
特定技能ビザの対象となる全業種や職種を紹介│雇用契約や業務内容などについて解説
特定技能 外国人を採用する流れ
特定技能外国人を採用する流れをご紹介します。
特定技能外国人の採用から採用後(就労開始)までのフロー
特定技能外国人の採用から就労開始までのおおまかな流れは以下の通りです。
採用前・採用後のフロー(外国人材側)
外国人材の就労までの流れは以下の通りです。
「特定技能」外国人の採用するため必要なことは?
特定技能外国人を採用するためには、「特定技能所属機関」になる必要があります。
特定技能所属機関とは、「特定技能」外国人を雇用する会社のことです。特定技能所属機関は、「特定技能」外国人の職場上、日常生活上、社会上の支援を行わなければなりません。
特定技能所属機関になる条件
特定技能所属機関になる条件は以下4点です。
- 外国人と結ぶ雇用契約が適当
- 機関自体が適当
- 適切な支援体制
- 外国人を支援する計画が適当
※適切な支援:支援しなければならない項目(事前ガイダンス/出入国する際の送迎/住居確保・生活に必要な契約支援/生活オリエンテーション/公的手続等への同行/日本語学習の機会の提供/相談・苦情への対応/日本人と交流促進/転職支援/定期的な面談・行政機関への通報)
「特定技能」外国人の採用経路について
求人方法には以下のような方法が考えられます。
- 自社ホームページで求人募集
- 求人サイトに募集情報を掲載
- ハローワーク
- 職業紹介事業者へ依頼
- 知人からの紹介
- 登録支援機関の活用
- 日本語学校への相談
自社ホームページで求人募集
自分の会社のホームページで外国人を求人情報の掲載を行います。
掲載するだけではなかなか応募に繋がらないため、ターゲットとする国の人の言語に翻訳した求人情報をSNS等を活用しながらたくさんの外国人の目に触れるように工夫することが大切です。
求人サイトに募集情報を掲載
現在、日本で働きたい外国人向けの求人サイトがたくさんあります。
ハローワーク
日本にいる外国人はハローワークを介して「特定技能」の雇用先を探すことが可能です。地域によっては外国人に特化したハローワークもあります。また、外国人を採用する場合は、雇用するにあたっての手続きやルールがあるため、必ずハローワークに届け出を行わなければなりません。
外国人雇用に関する情報収集の観点からも、ハローワークとは接点を持っておきましょう。
職業紹介事業者へ依頼
「特定技能」外国人を派遣で雇用することはできません。
※農業と漁業のみ派遣と直接の両方の雇用形態が許可されています。
派遣での雇用は不可能ですが、職業紹介事業者から紹介を受けて外国人を採用することは可能です。紹介会社により、つながりの強い国や業種ごとの専門業者などがそれぞれあります。
知人からの紹介
日本人と同様に、知人からのツテで「特定技能」外国人を採用することが可能です。
登録支援機関の活用
外国人を紹介してもらえそうな知人がいない場合は、登録支援機関にコンタクトをとってもよいかもしれません。しかし、登録支援機関は職業紹介を行うことができません。有料職業紹介事業が行えるのは、職業安定法に基づく「職業紹介事業許可」をもった事業所だけです。
※個々の登録支援機関によって異なりますので、問い合わせてみてもよいでしょう。
日本語学校への相談
日本で働きたいという生徒が何人か手を挙げる可能性があるので、企業が日本語学校に直接、雇用の相談を持ち掛けてみるのも方法のひとつです。特定技能試験や日本語試験の日程は決まっています。そのため年間スケジュールを把握して、前もって日本語学校の留学生に募集告知を積極的に行う方法もあります。
「特定技能」外国人の受け入れ費用について
「特定技能」外国人を雇用する際にかかる費用は大きく分けて3つあります。
- 人材紹介料・送出機関に払う費用
- 「特定技能」外国人本人に払う費用
- 「特定技能」外国人の入管申請にかかる費用
「特定技能」外国人を受け入れる際の注意点
「特定技能」外国人を受け入れる際は以下4点の内容について注意する必要があります。
- 出入国に関する法令
- 社会保険関係法令
- 雇用契約書に盛り込む事項の確認
- 罰則や行政処分
出入国に関する法令
在留資格「特定技能」で入国する外国人についても、出入国に関する法令の対象であり遵守する必要があります。
禁止例)有効な旅券を所持していない/上陸許可証印や上陸許可を受けずに日本に入国すること/在留資格の活動以外の収入を伴う事業運営活動や報酬を受ける活動を行うこと/在留期間の更新・変更を受けずに在留期間を経過して残留すること等
社会保険関係法令
「特定技能」外国人の受入れ機関が「特定技能」外国人を受け入れる際、申請書類の一つとして、地方出入国在留管理局に対して「社会保険関係の保険料の納付状況を確認できる書類」を提出することが必須となっています。そのため、特定技能外国人の受け入れ機関は、社会保険や労働関連の法令を遵守している企業である必要があります。
もし受け入れ機関が法令上社会保険に加入義務がある場合は、社会保険に未加入の状態では特定技能制度を利用して外国人労働者を受け入れることはできません。
雇用契約書に盛り込む事項の確認
「特定技能」外国人の受け入れに際しては「特定技能」外国人と雇用契約を結ぶ必要があります。
雇用契約書を結ぶ際は以下の4点に注意しましょう。
- 労働時間:特定技能ビザが認められるのはフルタイムのみ
- 給与:給与水準は同じ立場の日本人と同等またはそれ以上
- 有給休暇:本人が有給休暇取得を希望した場合は利用できるように手配する
- 各種保険/福利厚生等:社会保険や労災保険、その他福利厚生等は平等に適用する
この雇用契約は入管法上「特定技能雇用契約」と呼ばれており、盛り込まなければならない事項が規定されています。
この特定技能雇用契約は日本人と締結する雇用契約同様に労働法の規定を満たしている必要がある他、入管法で規定する事項にも対応している必要があります。
罰則や行政処分
在留資格「特定技能」で外国人を受け入れる機関はその状況につき随時又は定期的に届け出を行う義務があります。届け出を怠ったり違反があった場合には指導や罰則の対象となるので注意が必要です。
また、就労が認められない在留資格の外国人(短期滞在や留学等)が就労した場合や、入国の許可を受けていない者や、在留期限を過ぎた者が就労した場合は、「不法就労」となり、不法就労外国人を雇用した事業主は、入管法73条2項により、3年以下の懲役、又は300万円以下の罰金に処せられます。
「特定技能」外国人の採用をお考えの皆様へ
今回は「特定技能」外国人を雇用する前に知っておきたいポイントや受け入れる際の注意点を解説しました。「特定技能」外国人を雇用する流れをイメージしていただけましたでしょうか。
今後、ますます少子高齢化社会が進む事が予想されるため、優秀な人材を確保するには外国人の採用を検討していく必要があります。外国人を雇用するには注意点も多いため、簡単には採用できないという企業様も少なくないでしょう。
弊社では特定技能外国人の人材紹介も行っておりますので、外国人採用についてお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。