特定技能

特定技能1号とは?取得条件や特定技能1号取得者の採用について解説

高野国際行政書士事務所/外国人材紹介エージェント Global Village
代表 高野 大輔(たかの だいすけ)

商社とメーカーで海外営業15年を経て、地元茨城県で国際行政書士として起業。人手不足という地域課題を解決するべく、茨城特定技能サポートセンターを運営。外国人実習雇用士。

高野 

特定技能とは、2019年4月に新設された日本で働く外国人のための在留資格の一種です。これまで外国人が日本で働くには、「配偶者が日本人である」「日本に留学している」などの特定の状況が必要でした。しかし、特定技能では原則①日常会話レベルの日本語②各業種での実務が一定以上のスキルがあると試験で証明できれば、申請できます。

特定技能には全14業種が指定されています。1号は14業種、2号は2業種に特化した在留資格のため、多くの方は1号の申請をすることになるでしょう。

今回の記事では、特定技能1号で外国人を採用予定の経営者に向け、特定技能1号の取得条件と採用方法について詳しく解説していきます。

特定技能1号とは

特定技能1号は日本での在留資格の1種で、比較的、他の在留資格よりも取得しやすいという特徴があります。これまで日本では認められてきた在留資格では、国の要人や高度技能を持つ専門家など、大学卒業以上のキャリアが必要でした。また、日本で働く業務の母国での実務経験も必要でした。

<日本の在留資格の例>※抜粋

種類 日本で可能な活動
外交 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員などとしての活動
企業内転勤 日本に本店や支店のある企業へ海外から転勤してくる外国人が期限を決めての活動

しかし、特定技能1号では「母国で大学を卒業したか」という従来の条件は設定されず、母国での経験も問われません。特定技能1号で求められるスキルは即戦力ですが、日本での研修などで十分に対応できる職種もあります。そのため、日本の在留資格の中では取得しやすい在留資格として知られています。

外国人が日本で働くにはビザ(査証)を在外公館の領事窓口が発行しますが、在留資格はビザ(査証)を発行するために必要な資格です。特定技能1号で新たに外国人労働者を採用するなら、①在留資格を取得する②ビザを申請する、という順番で手続きします。

特定技能1号の概要

特定技能1号では、以下14種の業種・職種で働くことが可能です。これらの業種は、いまの日本で特に人手不足が著しい業界、高齢化が進んでいる業界がピックアップされています。

<特定技能1号要件で認められる14分野>

介護業 ビルクリーニング業
素形材産業 産業機械製造業
電気・電子情報関連産業 建設業
造船・船用業 自動車整備業
航空業 宿泊業
漁業 農業
飲食料品製造業 外食業

介護業と建設業以外、企業側での外国人労働者の受入数に制限はありません。

1号特定技能外国人支援計画について

支援計画とはどのようなものかというと、外国人が日本の事業所でスムーズに働けるようにオリエンテーリングをしたり、役所へ同行したり、住居の手配や生活上の相談など細かい部分までサポートするための計画です。

外国人労働者を管理する「出入国在留管理庁」では、日本で特定技能1号の外国人労働者を採用する経営者に対し、申請時に支援計画を提出することを義務付けています。

<支援計画に記載すべき項目>※抜粋

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保・生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続き等への同行

※書式は出入国在留管理庁の公式ホームページよりダウンロードできます。

在留期間特定技能1号は最長で働ける年数が、5年間となっています。特定技能1号で在留資格を取得したあとは、外国人労働者と事業所との契約期間により、1年、6か月または4ヶ月ごとに更新する必要があります。特定技能1号を雇う経営者は、特定技能1号で採用する外国人労働者を5年以上の雇用することはできません。

ただし、特定1号から特定2号(建設と造船・船用工業のみ)に在留資格を切り替えれば、半永久的に日本で仕事をすることは可能です。

特定技能1号取得の条件

特定技能1号で在留資格を得るには、各分野で日本語の試験に加え、業界ごとの試験に合格する必要があります。特定技能評価試験は日本だけでなく試験の実施できる体制が整った国(ベトナムなど)でも行われています。

評価試験の合格

外国人労働者は自身が合格した試験での在留資格を得ることができます。例えば、介護業の試験に合格した外国人は介護業で就職することが可能です。他の業界で働きたい場合は、その業界の試験に合格する必要があります。各業界での試験は、〇〇特定技能評価試験と呼ばれています。例えば、建設業に従事したい外国人が合格すべき試験名は「建設業特定技能評価試験」と呼びます。詳細は出入国在留管理庁の公式ページで随時公開されています。

参照URL:出入国在留管理庁|試験関係

試験の種類は1試験のもの(介護業、ビルクリーニング業など)もあれば、18種類と非常に多くの種類がある試験のもの(産業機械製造業)があります。

例)

建設業の左官の試験に合格した外国人→建設業の左官という職種で働くことが可能、屋根ふきで働くことは不可。

他に、日本語能力評価試験に合格する必要があります。日本語能力評価試験は通常、「国際交流基金日本語基礎テスト」か「日本語能力試験」のN4 以上(基本的な日本語を理解するレベル) のいずれかとなります。別途、介護業のように業界ごとの日本語試験を設けている場合もあります。

技能実習2号の修了

技能実習とは、国際的な国同士の共食関係において先進国である日本が後進国である東南アジア諸国などに対し、技術研修を行うものです。基本的に技能実習に訪れる外国人は実費の支払いを自らで行い、技能実習生を多くの日本企業が受け入れています。

特定技能は技能実習と似ている部分がありますが、特定技能は在留資格なのに対し、技能実習があくまで実習です。ただし、技能実習2号に合格している外国人は上記の日本語試験と業界ごとの試験が免除されます。

技能実習2号を修了するには、日本で2年10カ月以上の実務経験と技能検定3級(またはこれに相当する評価試験)に合格する必要があります。

特定技能1号の申請必要書類

特定技能1号に申請できる条件が揃ったら、お近くの地方出入国在留管理局(インフォメーションセンター:0570-013904)へ以下の必要書類を持参します。出入国管理在留管理庁の公式ホームページからは、インターネットによる申請も受け付けています。

※ウェブサイト内の「出入国在 留管理庁電子届出システム」ボタンをクリックして, 届出を行ってください。

特定技能1号に申請する際に必要な書類は、19種類あります。状況により一部不要の書類もあれば、追加で必要な書類もあり、その種類は膨大です。外国人労働者を雇う予定のある事業者は、できるだけ時間に余裕を持って書類を準備することをおすすめします。

特定技能在留資格の申請自体は、外国人本人だけでなく外国人を雇う機関の職員や研修を行っている機関の職員でも可能です。申請自体の手数料は無料で、原則、押印は必要ありません。

※各種、フォーマットのダウンロードはこちら↓

出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式)

(1)「特定技能(1号)」への在留資格変更許可申請に係る提出書類一覧 全必要書類のチェックリストです。フォーマットはhttp://www.moj.go.jp/isa/content/930004608.pdfからダウンロードできます。
(2)在留資格認定証明書交付申請書
  • 申請書のフォーマットは出入国在留管理庁の公式ページよりダウンロードできます。
  • 外国人の写真(縦4cm×横3cm)を添付します。写真は無帽正面、無背景、鮮明、申請者本人のみが写されていること。提出の日から3ヶ月以内に写されていること。裏面に氏名を記入すること。
(3)特定技能外国人の報酬に関する説明書 比較対象となる日本人労働者がいる場合、その労働者の賃金台帳の写しも提出します。フォーマットはこちらからダウンロードできます。
(4)特定技能雇用契約書の写し 申請者本人が理解できる言語で書かれている必要があります。
(5)雇用条件書の写し 申請者本人が理解できる言語で書かれている必要があります。
(6)事前ガイダンスの確認書 事前ガイダンスの内容については項目が決まっており、その内容を外国人と話し合ったと署名する必要があります。フォーマットはこちらからダウンロードできます。
(7)支払費用の同意書及び費用明細書 申請者本人が理解できる言語で書かれている必要があります。
(8)徴収費用の説明書 給料から徴収する税金や社会保険などについての説明書です。
(9)特定技能外国人の履歴書 履歴書の記載が事実と異なる内容がないように、注意します。
(10)日本語試験に合格した証明書 その他の評価水準で証明する場合は、その証明書を提出します。
(11)技能水準に合格した証明書 その他の評価水準で証明する場合は、その証明書を提出します。
(12)技能実習2号を修了した証明書 試験で技能を証明する人は、提出不要です。
(13)健康診断個人票 外国で受診した場合は、日本語訳も必要です。
(14)通算在留期間に係る誓約書 「特定技能1号」の通算在留期間が4年を超えた後の申請にのみ、提出が必要です。
(15)雇用の経緯に係る説明書 雇用契約の成立をあっせんする者がある場合には, 「職業紹介事業所に関する「人材サービス総合サイ ト」(厚生労働省職業安定局ホームページ)の画面を 印刷したもの」の提出が必要です。
(16)1号特定技能外国人支援計画書 2号の場合、支援計画書は必要ありません。
(17)支援委託契約書の写し など
  • 登録支援機関に外国人の受入れを委託する場合、委託しない場合で必要な書類は異なります。
  • 詳細は、提出書類一覧のNO.26をご覧ください。
(18)二国間取決めにおいて「遵守すべき手続」に係 わる書類 二国間協定を結ぶ国から外国人を受け入れる場合のみ、必要です。
(19)特定技能外国人受入れに関する運用要領(別冊 (分野別))に記載された確認対象の書類(誓 約書等) 分野ごとの書類が必要です。
(20)申請人名簿

 

申請取次人を介して複数の申請人について同時申請する場合のみ必要。PDFまたはEXCELで作成。

※理由書のフォーマットはこちら(出入国在留管理庁)の必要書類のところからダウンロードできます

※特定技能1号では、主に日本と二国間協定を結んでいる国から外国人が働きにやってきます。二国間協定※とは、日本が外国人労働者を受け入れ送りだす国と詳細を取り決めるための約束です。

※2021年現在、日本はフィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイと結んでいます。

この他、窓口・郵送で申請する場合は以下の2点も必要です。

返信用封筒と切手 定形封筒に宛先を明記の上,404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの
身分証明書

 

外国人申請者のパスポートを提示。パスポートを提示できない場合は、その理由を記した理由書を添付のこと。※代理人が申請する場合は、その者の身分証明書も必要。

特定技能1号の外国人採用について

特定技能1号で外国人を採用するには、採用する外国人が日本語能力や業界で働く技能を証明する試験にパスしている必要があります。その他、採用する事業者側にも満たさなければいけない条件があります。

外国人側の条件

特定技能1号で外国人側が承認されるための条件は、前述した通り、①一定の日本語レベルを証明するために試験に合格すること②上記の各業界で求められるスキルを証明するための試験に合格すること、の2点です。または、技能実習2号を修了している証明があれば、在留資格「特定技能」に新背できます。

特定技能は技能実習と違い、同じ業界内であれば外国人は他企業へ転職することが可能です。

事業者側の条件

次に、外国人を受け入れる事業者側の受入れ条件は、主に以下の5つです。

  1. 管轄の省庁(例、厚生労働省など)の指示や調査に協力すること
  2. 申請後には業界ごとの協議会に参加すること
  3. 1号特定技能外国人支援計画を策定・実施すること
  4. 外国人の報酬を日本人と同等以上にすること
  5. 外国人が理解できる言語での支援ができる

二国間協定を結んでいる国から外国人労働者を経営者が受け入れる際は、二国間協定で決められている内容(例、送迎をすること)も守る必要があります。

特定技能所属機関とは

特定技能所属機関とは、特定技能で外国人を雇い入れる会社(事業主)のことです。特定技能所属機関になるには、出入国在留管理庁への申請書等の提出、そして審査があります。一度審査に通ると、5年ごとに更新することで特定技能所属機関としての登録を継続できます。

登録支援機関とは

特定技能所属機関になること、これらの支援計画の策定と実施などは、外国人をはじめて受け入れる事業所にとって、簡単なことではありません。そのため、出入国在留管理庁では事業所と外国人の間に入って支援計画の作成や特定技能1号の申請などの諸々の手続きをすべて行う事業者を「登録支援機関」として制度化しています。(外国人労働者を特定技能1号で雇いたいけれど、いろいろ大変そうだな)と思われる方は、登録支援機関を利用するのも一つの方法です。

登録支援機関の探し方ですが、出入国在留管理庁の公式ホームページに一覧が掲載されています。(2021年8月2日現在、6,285件登録)

参照URL:出入国在留管理庁|登録支援機関登録簿

他にも、ネット検索で探せば特定技能の外国人を採用するサポートをしてくれる登録支援機関(社会保険労務士など)を見つけられます。

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