外国人雇用
特定技能外国人労働者を採用するメリットデメリット
2021.08.24
2021.11.17
高野国際行政書士事務所/外国人材紹介エージェント Global Village
代表 高野 大輔(たかの だいすけ)
商社とメーカーで海外営業15年を経て、地元茨城県で国際行政書士として起業。人手不足という地域課題を解決するべく、茨城特定技能サポートセンターを運営。外国人実習雇用士。
少子高齢化の進展により人手不足が深刻化してきている中、2019年4月1日から海外からの人材確保として期待される新しい在留資格「特定技能」の制度が開始されました。
人手不足で悩まされている企業から注目を浴びている「特定技能」ですが、「特定技能」外国人を雇用するとどんなメリットがあるのでしょうか?
今回の記事では、特定技能の概要、メリット、デメリットを詳しく解説します。
目次
そもそも在留資格「特定技能」とは?
特定技能とは、2019年4月に創設された新しい在留資格のことです。
この「特定技能」は深刻化する人手不足に対応するために日本国内において「人手不足と認められる14の業種」で、外国人の就労が解禁されました。
「特定技能」には、1号と2号の区分があり、滞在年数上限や利用できる産業分野に違いがあります。
「特定技能」について更に詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご確認ください。
簡単に「特定技能」についてご説明しましたが、そんな「特定技能」は今までの在留資格「技能実習」と何が異なるのでしょうか。
技能実習との違い
「特定技能」は技能実習と同じように1号・2号と分かれている等似ている部分はありますが、
それぞれの目的や趣旨が明確に違います。
大きな違いは以下の6つです。
(1)制度の目的が違う
「技能実習」は外国人への研修を目的としていますが、「特定技能」は企業の人手不足解消のための人材獲得を目的としています。
(2)働くことのできる職種が違う
「技能実習」は80種類、「特定技能」は14種類と働くことのできる職種が異なります。
「技能実習」は可能でも「特定技能」は不可能であったり、逆に「特定技能」は可能でも「技能実習」は不可能であったりする職種があります。
(3)転職の可否
「技能実習」は原則転職が不可となっていますが、「特定技能」に関しては、転職が可能です。
(4)「家族帯同」の可否
「技能実習」において家族帯同は原則不可となっていますが、「特定技能」に関しては「特定技能」2号であれば可能です。
※「特定技能」1号は原則不可となっております。
(5)就労前後に関わる人数
「技能実習」は送り団体や監理団体等の実習生との間に入る人が多いのが特徴ですが、特定技能の場合は原則企業と外国人候補者のみとなっております。
(6)受け入れ人数の制限の有無
「技能実習」は採用できる人数枠が決まっていますが、特定技能は建設分野と介護分野を除いて、受け入れ人数の制限がありません。
特定技能の外国人を採用するメリット・デメリット
特定技能の外国人労働者を採用することのメリットやデメリットについてご紹介していきます。
特定技能の外国人を採用するメリット
特定技能外国人を採用するメリットは以下の点などがあげられます。
- 人手不足を緩和できる
- 即戦力となる労働力を得られる
- 優秀な外国人労働者が多い
- 若年層の労働力が確保できる
- 日本語力がある程度あるのでコミュニケーションが取れる
- フルタイムで雇用ができる
- 「特定技能」2号業種であれば終身雇用も可能
- 受け入れ人数の制限がない(建築と介護分野を除く)
(1)人手不足を緩和できる
まずは特定技能の制度の目的でもある人手不足の緩和です。
日本では少子高齢化の進展により多くの分野で人手不足が顕在化してきています。
そうした状況に対応すべく、海外からの人材確保として期待され、新しい在留資格「特定技能」の制度が開始されました。
(2) 即戦力となる労働力を得られる
特定技能で受け入れるのは特定技能評価試験合格者や技能実習を良好に修了した外国人です。
そのため一定の知識や経験を持った状態で受け入れることができます。
(3)優秀な外国人労働者が多い
特定技能は業種ごとに試験が用意されています。
業種ごとに用意された特定技能評価試験に合格した外国人が取得することができる資格のため、優秀な外国人労働者を雇用することができます。
(4)若年層の労働力が確保できる
特定技能外国人は若い人材が多く、日本では少子高齢化が進む中、年々難しくなっている若年層の雇用をすることができます。
(5)日本語力がある程度あるのでコミュニケーションが取れる
特定技能外国人は、日本語評価試験に合格しているか、もしくはN2以上の日本語能力を持っているため、技能実習生よりも円滑なコミュニケーションが可能です。
(6)フルタイムで雇用ができる
アルバイトで外国人を雇用する場合は、週28時間以内と働ける時間に制限がありますが、特定技能の場合はフルタイムで働いてもらうことができます。
(7)特定技能2号業種であれば終身雇用も可能
特定技能1号の場合は、5年で帰国をしなければなりませんが、特定技能2号であれば在留期間の上限がなく、終身雇用も可能ということになります。
(8)受け入れ人数の制限がない(建築と介護分野を除く)
技能実習の場合、採用できる人数枠が決まっていますが、「特定技能」は初年度から建設分野と介護分野を除いて、受け入れ人数の制限がありません。
そのため、すぐにたくさんの人材が必要な企業にとっては大きなメリットになります。
特定技能外国人を採用する場合のデメリット
特定技能外国人を採用するメリットは以下の点などがあげられます。
- 転職される可能性がある
- 日本人と同等またはそれ以上の給与が必要
- 技能実習生よりも初期費用がかかる 受け入れ負担金等
- 技能実習生よりも採用が難しい
- 特定技能1号であれば5年で帰国しなければならない
- 言語や文化の壁がある
(1)転職される可能性がある
技能実習は転職原則不可に対して「特定技能」は転職が可能なので、給与などの企業側の条件等で外国人労働者が転職するリスクがあります。
(2)日本人と同等またはそれ以上の給与が必要
「特定技能」外国人を雇用する場合、日本人と同等またはそれ以上の給与を支払わなければなりません。
また、毎月の給与に加えて登録支援機関への支援費を払う必要があります。
(3)技能実習生よりも初期費用がかかる 受け入れ負担金等
「特定技能」外国人を雇う際には、特定技能の外国人労働者を紹介してもらう手数料を支払わなければなりません。
(4)技能実習生よりも採用が難しい
業種ごとに用意された特定技能評価試験や日本語能力試験等に合格しなければならないため技能実習と比べて候補者の確保が難しくなっています。
(5)特定技能1号であれば5年で帰国しなければならない
「特定技能」2号であれば、在留期間に決まりはありませんが、「特定技能」1号の場合は最長5年で母国へ帰国しなければなりません。
(6)言語や文化の壁がある
前述で「特定技能」外国人はある程度の日本語力があると説明しましたが、とは言え外国人労働者にとって日本語は外国語であるため、日本人と同等のコミュニケーションは取れません。
難しい日本語の表現等は外国人労働者が理解できない可能性があるということを理解しておきましょう。
まとめ
特定技能は人材不足の解消、即戦力かつ若い人材の獲得、フルタイムで雇用できる等のメリットが沢山ありますが、転職される可能性がある、雇用のためのコストがかかる、特定技能1号は5年で帰国しなければならない等のデメリットもあります。
特定技能外国人を雇いたい場合は、メリットやデメリットをよく理解しておきましょう。
特定技能外国人の支援を委託した際の費用については、以下記事でご紹介しておりますで併せてご確認ください。