特定技能

特定技能ビザの対象となる全業種や職種を紹介│雇用契約や業務内容などについて解説

高野国際行政書士事務所/外国人材紹介エージェント Global Village
代表 高野 大輔(たかの だいすけ)

商社とメーカーで海外営業15年を経て、地元茨城県で国際行政書士として起業。人手不足という地域課題を解決するべく、茨城特定技能サポートセンターを運営。外国人実習雇用士。

高野 

特定技能ビザは、外国人労働者が幅広い職種に従事することを認める在留資格です。特定技能ビザの制度は2019年4月から始まりましたが、最新(2021年3月)のデータでは約22,000人の外国人が特定技能ビザを受給しています。

特定技能ビザで対象となる職種は、主に日本国内で常に人手不足の職種(例.建設業・介護業)で構成されています。人手不足に苦しむ業界の経営者は、外国人の採用に目を向けるのもひとつの打開策となるでしょう。

今回の記事では、特定技能ビザの対象となるのはどのような業界・職種なのか、具体的な雇用契約や業務内容を含め解説していきます。

なぜ特定技能という資格があるのか

日本で特定技能という在留資格の制度ができるまで、外国人が日本で長期滞在し働くためには「配偶者が日本人である」「外交官である」「留学生である」などの特別な状況が必要でした。これに対し、新たに設定された在留資格「特定技能」は、日常会話程度の日本語と業界ごとに求められる相当程度の技能があれば、多くの外国人が取得可能なビザとなっています。つまり、以前からある在留資格よりも格段にハードルが低いのです。

特定技能は一部業種の人材不足を補うため

日本で特定技能という新たな在留資格を設置した背景には、一部の業種での深刻な人手不足が挙げられます。人手不足の主な原因は、建設業の3K(きつい、汚い、危険)やシステムエンジニアの新3K(きつい、厳しい、帰れない)などに代表されるように、労働条件の悪さから離職率が高くなっているためです。また、慢性的に人手不足となる業界・職種では、「肉体的・精神的な負担が多い業務にも関わらず、給与がなかなか上がらない」といった業界の構造上の問題も指摘されています。

国内での人手不足を放置すれば、業界自体が破綻し、やがては社会システムの崩壊へとつながるリスクがあります。持続可能な社会を目指すためにも、特定技能の制度を上手に使い、経営者は人材不足という雇用問題を乗り切っていきましょう。

なお、特定技能はよく「技能実習」と混同されることがありますが、両者は似て非なるものです。特定技能は外国人が日本で働くための在留資格であり、申請後に認められると在留資格カードが付与されます。一方、技能実習は先進国としての日本が後進国のために実施するトレーニングであり、修得した外国人には技能実習修了証書が与えられます。

他には、以下のような違いがあります。

特定技能
  • 外国人が日本で働くための在留資格の一種
  • 介護業や建設業など、全14業種が対象
  • 特定技能を取得するには、①日常会話レベルの日本語と相当程度の技能、または、②技能実習2号の修得が必要
技能実習
  • 先進国としての日本が後進国である他国へ技術習得のために行う
  • 技能実習は他国と日本の間で行われる職業訓練で、原則、費用は外国人が支払う
  • 技能実習は基本的に在留資格ではないが、在留資格を得るための要件として利用することも可能

技能実習は日本が海外の国へスキルを与えるものとしての位置づけでしたが、特定技能は日本で外国人が働きやすくなるための新しい在留資格です。ただし、特定技能はどんな外国人に対しても発給されるものではなく、一定の要件(即戦力となる人材であること)があります。その要件のひとつとして、技能実習も含まれているのです。特定技能の要件については、以下の関連記事も是非あわせてご覧ください。

特定技能ビザの要件とは?外国人を雇う前に知っておきたい知識

少子高齢化の国には特定技能ビザが必要?!

ちなみに、アメリカの在留資格はどうかというと、アメリカの場合は以前の日本と同じで外交官や教授や高度な専門職でないと職業として在留資格は認められていません。

<アメリカの在留資格の種類>※一部

外交、公用、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育 など

※日本の特定技能にあたる在留資格はない

アメリカも日本と同様、少子高齢化の傾向がありますが、日本ほど深刻な状況にはありません。アメリカの場合、民間の保育サービスが日本より充実しており、出産後も継続して女性が働きやすい環境にあるという違いがあります。一方、高度成長を遂げた中国はだんだんと日本のように少子高齢化が進んでいます。将来的には、中国も日本と同じように外国人労働者に頼る状況になるかもしれません。

特定技能1号の全14業種・職種

特定技能には1号と2号があり、あわせて14種類の業種・職種が対象となっています。ここでは、特定技能が取得できる具体的な業種・職種をご説明いたします。

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号と2号の最も大きな違いは、①求められる技術の習熟度②対象業種②更新期限③家族の同伴の4点です。大まかにいうと、1号は一定水準のスキルと日常会話程度の日本語が基準であり、2号は熟練した建設業・船用工業のスキルと同程度の日本語レベルが必要です。特定技能2号を取得するには、1号からの切り替えしか方法がありません。そのため、特定技能1号と2号では、1号を申請するケースが圧倒的に多い状況です。

次に、1号は介護職・外食業など全12業種が対象職種となっていますが、2号は建設業と造船・船用工業の2業種のみです。特定技能1号では最長で5年まで日本に滞在できますが、2号では更新し続ければ、無期限で日本に滞在できます。

特定技能1号 特定技能2号
【技能】一定の技能

【業種・職種】全14種類

【更新期限】最長5年(更新が必要)

※1年、6か月または4か月ごときが必要

【家族の同伴】不可

【技能】熟練した技能

【業種・職種】全2種類

【更新期限】期限なし(更新が必要)

※3年、1年または6か月ごと

【家族の同伴】不可

1号も2号も日本語レベルはN4以上が目安

特定技能では他の在留資格のように大学を卒業している必要はなく、母国でマネージャーなどの役職についた経験も必要ありません。ただし日本語は、日本語能力検定(N1~N5の5段)の中で基礎的な日本語「N4」以上が求められます。日本で仕事をするには、基礎的な日本語を理解している必要があるからです。

日本語の具体的な目安は、以下となります。

N4 (読む)

  • 基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中なかでも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。

(聞く)

  • 日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。

参照URL:日本語能力試験|N1~N5の目安

なお、日本語能力試験の実施は日本だけでなく、中国やオーストラリアなどの海外でも受験が可能です。

特定技能1号2号のそれぞれの詳細は以下記事をご覧ください。

特定技能1号とは?取得条件や特定技能1号取得者の採用について解説

特定技能2号 とは?業種は2業種のみ?取得条件や試験について解説

1号では受入れ事業所(=登録支援機関)による支援が必要

特定技能1号で外国人を受け入れる場合、受け入れる事業所は「登録支援機関」として登録をする必要があります。また、外国人に対して電話や面接などでフォローアップすること、必要な手続きに同行するなど、幅広い支援をすることが出入国在留管理庁により求められています。

特定技能1号の全14業種・職種

特定技能1号では、介護業・ビルクリーニング業など、全部で14分野の業種・職種が対象です。介護業や建設業のように肉体的労働のイメージがある業務の他、業界自体で高齢化が進んでいる農業や漁業など、幅広い分野がラインナップされています。

<特定技能で認められる14分野>

介護業 ビルクリーニング業
素形材産業 産業機械製造業
電気・電子情報関連産業 建設業
造船・船用業 自動車整備業
航空業 宿泊業
漁業 農業
飲食料品製造業 外食業

 上記の業種・職種について、それぞれ①求められる実務内容②雇用契約③これまでの特定技能ビザの発給数をまとめていきます。(令和3年3月時点のデータより)いずれのジャンルでも、外国人を特定技能で雇用する場合には、申請の他に分野ごとに設置されている「協議会」に登録し、随時参加しなければいけません。また、各管轄の官庁から調査などの依頼や支持が合った場合は、協力する義務があります。

参照URL:出入国在留管理庁|特定技能ガイドブック

①介護業(管轄:厚生労働省)

少子高齢化の著しい日本で、この先も需要が増え続けそうな業界です。2021年3月時点では、今後60,000人の外国人の受入れを目指しています。介護業ではベトナムからの労働者が870名と最も多く、次いでインドネシア・フィリピン・中国の順に受入れが多くなっています。外国人の日本での働き先は、東京・埼玉・神奈川という首都圏が大部分を占め、次いで大阪と愛知が多い状況です。

①求められる実務内容
  • 身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴,食事, 排せつの介助等)のほか,これに付随する支援業務(レクリエーションの実施,機能訓練の補助等)

(注)訪問系サービスは対象外

②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

22,567

外国人が特定技能1号で働く場合、「介護技能評価試験」に合格する必要があります。その他、厚労省からの指導・協力にも対応し、事業所内での受入人数を設定する必要があります。

介護職の特定技能1号に合格した外国人は、同じ介護職であれば別の職場へ転職することも可能です。

介護の特定技能については、以下記事も併せてご参照ください。

特定技能の介護とは?取得のための試験内容や受け入れ企業向けの要件とは

②ビルクリーニング業(管轄:厚生労働省)

ビルクリーニング業も、欲しい人材に対してまだまだ数が足りていない業界です。日本では首都圏を中心にビルクリーニングの需要が多くありますが、その反面、ビルクリーニング業で働く従業員のおよそ半数の従業員は非正規で、雇用が安定していません。ビルクリーニングが十分に行われない環境は公衆衛生の面でもリスクがあるため、特定技能による外国人の受入れはビルクリーニング業界でも強く要望しています。

外国人が特定技能のビルクリーニング業で働く場合、「ビルクリーニング分野 特定技能1 号評価試験」に合格する必要があります。ならびに、特定技能のビルクリーニング業で外国人を受け入れる事業所は、前述の厚生労働省への協力などの他、「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けている必要があります。

①求められる実務内容 建築物内部の清掃
②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

281

特定技能ビザを使って日本で働く外国人は主にベトナム人で、2021年3月では281人中163名がベトナム人です。この数はまだ十分ではなく、業界全体でまだまだ受入れが必要です。

③素形材(そけいざい)産業(管轄:経済産業省)

金属などの素材に熱や力(ちから)を加え、組み立て産業のための前段階として複雑な形状や高い強度を提供する産業です。日本の誇るものづくりに大きく貢献する分野ですが、アジア新興国の追い上げや東日本大震災の影響もあり、業界の勢いは低迷しています。外国人がこの分野で働く場合、「製造分野 特定技能 1号評価試験」に合格する必要があります。

素形材産業の特定技能受入れ状況は、2021年3月現在で1,669人(7.4%)。その中で、ベトナムからの労働者が1,001名と最も多く、次に中国・インドネシアの順で労働者数は多くなっています。

①求められる実務内容
  • 鋳造
  • 鍛造
  • ダイカスト
  • 機械加工
  • 金属プレス加工
  • 工場板金
  • めっき
  • アルミニウム 陽極酸化処理
  • 仕上げ
  • 機械加工
  • 金属プレス加工
  • 工場板金
  • めっき
  • 仕上げ
  • 機械保全
  • 電子機器組立て
  • 電気機器組立て
  • プリント配線板製造
  • プラスチック成形
  • 塗装
  • 溶接
  • 工業包装
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 塗装
  • 溶接

(13試験区分)

②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

1,669

素形材産業では全13種の試験が設置されています。例えば、特定技能ビザで「溶接」の職種で働きたい外国人は、溶接の試験を受ける必要があります。溶接の試験に受かった方は他社の溶接業で転職できますが、塗装など別のジャンルに転職することはできません。

④産業機械製造業(管轄:経済産業省)

産業機械とは、工場や事務所で使われる機械全般のことです。その産業機械を製造するのが産業機械製造業で、国内シェアの高い大手企業ではコマツ製作所、三菱重工業、ダイキン工業などが有名です。産業機械製造業は自動車製造業と密接な関係があります。日本では自動車製造が全製造業の中で約2割を占め、2018年の自動車製品出荷額は62兆円でした。今後は、日産をはじめコストの安い海外での製造が進む可能性もありますが、インフラとして最低限の製造体制は維持する必要があります。

外国人が特定技能の産業機械製造業で働く場合、「製造分野 特定技能 1号評価試験」に合格する必要があります。産業機械製造業は特定技能の中で8.6%を占め、半数はベトナムからの労働者が多く(1,937人中1,110人)、次いでインドネシアと中国が多い状況です。

①求められる実務内容
  • 鋳造
  • 鍛造
  • ダイカスト
  • 機械加工
  • 塗装
  • 鉄工
  • 工場板金
  • めっき
  • 仕上げ
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 工業包装
  • 電子機器組立て
  • 電気機器組立て
  • プリント配線板製造
  • プラスチック成形
  • 金属プレス加工
  • 溶接(18試験区分)
②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

1,931

⑤電気・電子情報関連産業(管轄:経済産業省)

電気・電子情報関連産業とは、幅広いジャンルの産業へ電子部品等を供給する産業です。電子部品は医療や航空業界などさまざまな業界と密接にかかわり、日本の得意な半導体製造に関しても電子部品が必須です。そして、将来的にもAI・ロボット・ドローンなどでますます需要が見込まれます。

しかし、最近では中国などの人件費が安い諸国に押され気味です。経済産業省はこの分野の人材不足を以前から懸念しており、工場での生産の見える化をすすめるデジタル化やIoT・AIによる取り組みを支援してきました。このジャンルで特定技能を取得するには、「製造分野 特定技能 1号評価試験」に合格しなければいけません。

①求められる実務内容
  • 機械加工
  • 金属プレス加工
  • 工場板金
  • めっき
  • 仕上げ
  • 機械保全
  • 電子機器組立て
  • 電気機器組立て
  • プリント配線板製造
  • プラスチック成形
  • 塗装
  • 溶接
  • 工業包装(13試験区分)
②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

994

 

電気・電子情報関連産業の国内での受入れはほとんど、愛知県と兵庫県に集中しています。電気・電子情報事業には全部で13の試験区分がありますが、特定技能のほとんどは「電子機器組み立て」または「電気機器組み立て」で申請されています。

⑥建設業(管轄:国交省)

建設業は、飲料食品製造と農業の次に申請数の多い特定技能ビザです。建設業には実際肉体労働以外の業務も多いのですが、なかなか固定したイメージを払拭することができず、深刻な人材不足に直面しています。外国人労働者の場合、ゴシックなど外国特有の技能を持つ方も多いのですが、以下の求められる技能には該当しない限り、特定技能には該当しません。建築分野の実務内容の種類は多く、左官や屋根ふきなどの手技系やトンネル推進や海洋土木工など規模の大きなプロジェクトまでさまざまあります。

建設業の特定技能については以下記事も併せてご参照ください。

建設業における外国人受け入れについて│特定技能1号・2号の要件や対象業種について解説

建設業で特定技能に申請するには、雇う外国人が「建設分野 特定技能 1号評価試験」等に合格している必要があります。

①求められる実務内容
  • 型枠施工
  • 左官
  • コンクリート圧送
  • トンネル推進工
  • 建設機械施工
  • 土工
  • 屋根ふき
  • 電気通信
  • 鉄筋施工
  • 鉄筋継手
  • 内装仕上げ /表装
  • とび
  • 建築大工
  • 配管
  • 建築板金
  • 保温保冷
  • 吹付ウレタン断熱
  • 海洋土木工(18試験区分)
②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

2,116

 

特定技能の建設分野の受入れはまだまだ不足しており、今後、さらに40,000人を受け入れる予定です。この数は全特定技能の中で最も多い数字で、次に多い受入れ予定の分野は農業で36,500人となっています。

(注意)

建設業では国土交通省から他の分野にはない、以下の規定が設けられています。(抜粋)

  • 日本人と同等の給与を支払うこと
  • 技能習熟に応じた給与体系にしていること
  • 契約書の重要事項は外国人の母国語での書面を発行し、説明すること
  • 受入れ人数を設定すること
  • 国交省等により,認定を受けた「建設特定技能受入計画」を適正に履行していることの確認を受けること

⑦造船・ 舶用工業(管轄:国交省)

日本は周りすべてが海に囲まれている島国のため、輸出や輸送のほとんどを海運がまかなっています。そのため、国内のインフラとして安定的な供給を継続するには、造船・船用工業の発展は欠かせません。将来的には造船・船用工業もデジタル化や人材不足のための協業などを視野にいれなければいけません。この分野で外国人を雇うには、「造船・舶用工 業分野 特定技能 1号試験等」の試験に合格する必要があります。

①求められる実務内容
  • 溶接
  • 塗装
  • 鉄工
  • 仕上げ
  • 機械加工
  • 電気機器組立て

〔6試験区分〕

②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

2,116

 

造船・ 舶用工業分野の特定技能ビザの発給は、フィリピンからが最も多く319名、次いでベトナムで136名となっています。今後の受入れ予定数は13,000人です。

⑧自動車整備分野(管轄:国交省)

シェアカーなどの普及で自動車を保有している人が減っている中、熟練した自動車整備士も減っている状況です。以前は一家に自動車は1台、2台、という時代もありましたが、ものを保有しない体験重視の時代に突入し、次第に、自動車整備士を希望する若者の数も激減しています。特定技能で求められるスキルは自動車の日常点検や定期点検整備など、基本的な内容です。外国人が特定技能として申請するには、「自動車整備 分野特定技 能評価試験」等に合格する必要があります。

①求められる実務内容
  • 自動車の日常点検整備,定期点検整備,分解整備

〔1試験区分〕

②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

247

 

自動車整備士分野の今後の受入れ数は7,000人です。事業所がこの特定技能で外国人を受け入れるには、・道路運送車両法に基づく認証を受けた事業場である必要があります。

⑨航空(管轄:国交省)

航空業界の人手不足は意外に感じるかもしれませんが、日本だけでなくアメリカなど他国でも即戦力となる整備士や操縦士の数が足りず、深刻な問題となっています。その主な理由はLCCの台頭です。LCCの登場で各社航空会社は軒並み低コスト化を強いられ、さらに航空業界は新型コロナ感染症の影響を多大に受けました。

航空業界と特定技能ビザの相性はあまり良いとは言えず、いまのところ該当者は少ない状況です。航空分野で特定分野申請をするには、該当の外国人が「特定技能評 価試験(航空 分野:空港グ ランドハンドリング,航空機整備))に合格している必要があります。全14業種の中で最も発給数の少ない分野が、この航空業界です。

①求められる実務内容
  • 空港グランドハンドリング(地上走行支援業務,手荷物・貨物取扱業務等)
  • 航空機整備(機体,装備品等の整備業務等)

〔2試験区分〕

②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

16

 

航空分野では今後2,200人の受入れを予定しています。受入れ予定の事業所は空港管理規則に基づく構内営業承認等を受けた事業者又は航空法 に基づく航空機整備等に係る認定事業場等である必要があります。

⑩宿泊(管轄:国交省)

宿泊業はもともと地方の旅館などを中心に若手の後継者が見つけられず、人手不足が続いていました。また、都心のホテルでも「長時間労働」「給料がやすい」ときつい条件の職種としてランクインする事態に。また、オリンピックのため新しいホテルが建設ラッシュだったのも人手不足の原因でした。

そんな宿泊業界ですが、コロナ禍により一部では「人材過剰」の状態に一変する事態となりました。しかし、宿泊業界全体ではまだ人材不足が続いており特定技能では22,000人の受入れを予定しています。

①求められる実務内容
  • フロント,企画・広報,接客,レストランサービス等の宿泊サービスの提供〔1試験区分〕
②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

83

 

この特定技能で外国人を申請するには、「宿泊業技能測定試験」の合格が必要です。また、特定技能へは以下の規約を守れる事業所のみが申請できます。

  • 「旅館・ホテル営業」の許可を受けた者であること
  • 風俗営業関連の施設に該当しないこと
  • 風俗営業関連の接待を行わせないこと

⑪農業(管轄:農水省)

日本の農業は長らく後継者不足と人手不足に悩まされています。2,000年には農業人口の平均年齢は61歳でしたが、2017年には66歳となっています。農業にもデジタル化の波が押し寄せており、若者が農業をYouTube動画でPRする、差別化したブランド野菜などを生産する若者も増えています。しかし、絶対数としてまだまだ農業人口は不足しています。

特定技能で農業分野は最も外国人労働者を受け入れた分野で、その数は3,359人です。半数以上がベトナムから、次いでカンボジア・インドネシアの順となっています。

①求められる実務内容
  • 耕種農業全般(栽培管理,農産物の集出荷・選別等)
  • 畜産農業全般(飼養管理,畜産物の集出荷・選別等)〔2試験区分〕
②雇用契約 直接、派遣
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

3,359

 

農業分野で外国人労働者を受け入れる事業所は、日本人労働者を含め労働者を雇った経験のある事業所でなければいけません。また、申請時に該当の外国人が「農業技能 測定試験」に合格している必要があります。

⑫漁業(管轄:農水省)

以前は花形産業だった漁業ですが、近年では就労人口における高齢化が深刻となっています。また、その高齢の漁業者の子供たちは別の職に就いていて、農業と同じく、後継ぎがいないことが人材不足の大きな要因です。また、それだけでなく漁業では生産性が低いという問題点も指摘されています。儲けどころか漁をすることで赤字になることもあるため、漁業でも今後の構造改革は必須です。

海に囲まれた日本にとって漁業は最も重要な産業の一つであり、安定的な基盤をつくるためにも外国人労働者の受入れもすべきでしょう。

①求められる実務内容
  • 漁業(漁具の製作・補修,水産動植物の探索,漁具・漁労機械の操作,水産動植物の採捕,漁獲物の処理・保蔵,安全衛生の確保等)
  • 養殖業(養殖資材の製作・補修・管理,養殖水産動植物の育成管理・収獲(穫)・処理,安全衛生の確保等)

〔2試験区分〕

②雇用契約 直接、派遣
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

3,359

 

漁業分野の特定技能では「漁業技能 測定試験 (漁業又は養殖業)」に合格していることが条件です。農業と同じく、直接雇用ではなく派遣での受入れも可能となっています。

⑬飲食料品製造業(管轄:農水省)

特定技能1号の中で最も受入れ数が多い分野で、2021年3月時点で8,104名です。日本には大手企業・中小企業を問わず飲料食品の製造工場が多数あり、パンやラーメンや野菜缶詰などを生産し、日々わたしたち日本人の食生活を支えています。食品工場では単純労働が多いため、正社員として長らく働くというよりは非正規雇用が中心となり、人材不足が慢性化している状態です。

約8,000人の特定技能の受入れのうち、6,000人はベトナムから、600人は中国からの労働者となっています。

①求められる実務内容
  • 飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工,安全衛生)

〔1試験区分〕

②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

8,104

 

この特定分野で外国人を受け入れるには、「飲食料品製 造業特定技能1号技能測定試験」に合格する必要があります。

⑭外食業(管轄:農水省)

外食産業は新型コロナによりデリバリーやテイクアウトに移行するなど、大きな転換期を迎えています。外食産業はそのビジネスモデルから営業時間が長時間のことが多く、必然的に人材不足が続いています。また、食品工場と同じく働く自在は主に非正規雇用のため、常に人材を採用していなければいけない状況です。

外食産業で外国人を受け入れる事業者は、以下の規約を守ることが義務付けられています。

  • 風俗営業関連の営業所に就労させないこと
  • 風俗営業関連の接待を行わせないこと
①求められる実務内容
  • 外食業全般(飲食物調理,接客,店舗管理)

〔1試験区分〕

②雇用契約 直接
③これまでの特定技能ビザの発給数

(2021年3月現在)

1,150

 

2021年3月には1,150名の受入れがあり、全体の中では約5%の比率です。他の分野と同じく、外食業についても主な国はベトナムとなっています。

外食の特定技能については、以下記事も併せてご参照ください。

飲食業界を対象とする特定技能ビザ「外食」とは?要件や必要書類、対象業種について解説

特定技能2号の全2業種・職種

特定技能2号で設定されている業種・職種は2つのみで、前述した「建設業」と「造船・ 舶用工業」です。1号で求められるスキルは「一定の水準以上」でしたが、2号では熟練した技能が求められます。

2号の申請で外国人が行うのは建設または造船・船用工業に関わる試験のみです。日本語試験は実施されません。2号は1号に合格した外国人のみが申請できるからです。

特定技能についての相談は専門家に

在留資格「特定技能」では申請にあたり、外国人を支援する計画(支援計画書)を作成しなければいけません。要件や申請書類については、専門家の目線からアドバイスをもらうことをおすすめします。人材不足解消で外国人を採用しようとして、実は条件に該当していなかった、受け入れができなかったというケースもあるためです。

特定技能については、一定の要件を満たした社会保険労務士、行政書士などが「登録支援機関」として活躍しています。当サイトを運営するわたしたちも、特定技能についてのお手伝いができます。まずはお気軽にご相談ください。

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