特定技能

特定技能外国人の支援を登録支援機関に委託したら費用はどのくらい?

高野国際行政書士事務所/外国人材紹介エージェント Global Village
代表 高野 大輔(たかの だいすけ)

商社とメーカーで海外営業15年を経て、地元茨城県で国際行政書士として起業。人手不足という地域課題を解決するべく、茨城特定技能サポートセンターを運営。外国人実習雇用士。

高野 

深刻な労働力不足に陥っている日本の労働問題を解決するために、2019年に「特定技能ビザ」が在留資格として新たに新設されました。

それに伴い、「技能実習生から特定技能に移行する」ケースや新しく特定技能ビザを活用して外国人労働者を雇用しようという動きが増えてきています。しかし特定技能外国人を雇用するときに掛かる費用や登録支援機関を利用するときに掛かる費用についてはわからないことも多いかと思います。

そこで今回は特定技能外国人の雇用にかかる費用について解説します。

特定技能外国人を雇用する際に発生する費用とは

特定技能外国人の雇用に際して発生する費用は主に次の3つに分類することができます。

  • 特定技能外国人本人に支払う費用
  • 人材紹介料・送出機関に支払う費用
  • 登録支援機関への委託にかかる費用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

特定技能外国人本人に支払う費用

まず特定技能ビザで雇用する外国人労働者本人へ発生する費用です。

特定技能外国人を雇用する場合、企業が労働者本人に支払う義務がある費用は「給与」「家賃補助」「渡航費」の3つに分けられます。

本人に支払う費用①:給与

まず、特定技能ビザを有する労働者に対して真っ先に発生する費用が給与です。当然ですが、労働力を提供してもらう以上それに見合った報酬を企業は支払わなくてはいけません。

特定技能の外国人労働者に対する給与の平均水準について、政府が明確な方針を打ち出しているわけではありません。しかし、特定技能の外国人労働者の雇用形態は企業との直接雇用で、正社員として扱われます。そのため、日本国籍の正規労働者に支払う給与と同等以上の額でなくてはいけないという最低ラインはあります。アルバイトなどと同じように扱うことはもちろん、間違っても最低賃金を下回ることは絶対にしないようにしてください。

また、日本国内で働いている労働者には無条件に労働基準法が適用されます。「あなたは日本人じゃないから」と不当な条件下で労働をさせることは法律違反であり、立派な犯罪に当たるので注意しましょう。

本人に支払う費用②:家賃補助

特定技能ビザを取得して日本で労働を望む外国人の方々の多くが、母国からやってきます。つまり、はじめから国内で生活をしている方でない限り、日本に住居がないのです。そのため、特定技能の外国人労働者を雇用する企業は、彼らが住む場所を見つける手伝い、あるいは住居の提供をしなくてはいけないということが義務付けられています。

住む場所を見つける手伝いをするケースでは、不動産業者や賃貸物件に関する情報を提供したり、賃貸契約の際に連帯保証人になったりということが主な役割です。

また、「企業として物件を借り受ける」「企業で所有する社宅を提供する」などで住居を提供することもできます。

このとき、敷金・礼金は外国人労働者が負担するのか、企業が負担するのかによって異なります。住居のある周辺状況の相場などによって変動するので、柔軟に対応することが大切です。しかし、保証料に関しては外国人労働者に負担させてはいけないという決まりがあるので、注意しましょう。

本人に支払う費用③:渡航費

特定技能の外国人労働者が日本へ来日する際、政府は企業に渡航費を負担することを推奨しています。あくまでの「推奨」であり、最終的な判断は企業に一任されています。一般的には全額負担もしくは一部負担をする企業が多いようです。

これから一緒に働いていく仲間ですから、政府が作成しているガイドラインを遵守し、トラブルがないようにすることを意識しましょう。

参考|出入国在留管理庁

人材紹介料として支払う費用

そもそも特定技能ビザの外国人労働者を雇用する場合は、人材紹介会社を介しての雇用がメインとなることが多いです。「派遣のような形態はないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、特定技能ビザの外国人労働者は正規雇用となるので、派遣会社などを通して外国人労働者を紹介してもらうことはできません。

人材紹介料は「成功報酬型」が多い

人材紹介料の支払いは、人材紹介会社によって規定が異なります。しかし、大抵の場合は雇用契約を結び、入社が成立した時点で初めて費用が発生する「成功報酬型」が多くなっています。また、海外から特定技能の外国人労働者が来日するときには、現地送出機関に送出費を支払わなければなりません。

人材紹介料は幅を持って見積もっておく

技能実習から特定技能ビザに移行して外国人労働者を雇用するケースでは、外国人労働者本人が日本語試験と技能試験に合格しなければなりません。試験に当たって発生する教育費用は企業が負担しなければならないため、単に人材紹介料だけを支払えばいいというものでもありません。

人材紹介料の相場は10万円から30万円程度と言われていますが、教育費用も考慮してさらに費用が掛かることも想定しておいた方が安全です。

登録支援機関への委託にかかる費用

特定技能ビザの外国人労働者を雇用する企業は、外国人労働者に対して法律で定められた支援を継続的に続けていくことが求められています。

企業が支援すべき内容は主に次の7つがあります。

  • 事前ガイダンス
  • 生活オリエンテーション
  • 入国後送迎
  • 年4回の面談と報告書の作成
  • 外国人の母国語相談対応
  • 生活に必要な契約に関わる支援
  • 日本語学習機会や日本人との交流促進に関わる支援

これらは特定技能の外国人労働者の方々が日本で有意義かつ、健康的に生活することをサポートするためにあります。ただ、これらすべての支援を自社で完結しようとするのは中々に難しいものがあります。なぜなら、これらの支援は法律に基づいて定められたガイドラインに従って行われなくてはいけないからです。初めて特定技能の外国人労働者を雇い入れる企業であれば、1から法律周りの細かい取り決めに精通していかなくてはいけなくなり、その労力はとてつもなく大きいです。中には通常の業務に影響が出てきてしまうケースも珍しくありません。

そこで利用を検討して頂きたいのが「登録支援機関」の利用です。

登録支援機関とは

登録支援機関は、受け入れ企業が行うべき特定技能ビザを持つ外国人労働者に対する支援の代行を行う機関です。受け入れ企業から委託を受け、特定技能外国人の支援計画の作成や実際の支援を行います。

以下記事で登録支援機関の詳細をご説明しております。併せてご確認ください。

特定技能の登録支援機関とは?役割や支援内容を解説

登録支援機関に委託したときに掛かる費用は?

2021機関によって、委託にかかる費用は異なります。上記を見てみてもわかるように、外国人労働者のために支援するべき内容は多岐に渡るため、個々に価格を定めて請け負っている場合もあれば、一括で請け負うことで割安さを実現している場合もあるためです。

一般的には15,000。ただし、費用については、支援する外国人労働者の人数を1人と想定している場合が多いので、注意が必要です。もし複数人の特定技能の外国人労働者を雇用するなら、その人数分の費用を支払わなければなりません。

登録支援機関を利用しないで自力で支援するのは可能?

もちろん、登録支援機関を利用しないで自社で支援するという方法もあります。

しかし、特定技能の外国人労働者の支援は、法律に基づいて定められたガイドラインに従って行われなくてはいけません。そこには外国人がきちんと理解できる言語で生活に必要な情報を提供することや、国や地方自治体に提出するべき書類についての説明や提出の手伝いを行うことなども含まれています。企業の状況によっては、自力で行うよりも登録支援機関を頼ってしまった方が安全な場合もあります。

登録支援機関を利用した方がいいケース①:法律の理解が浅い

自社で外国人労働者の支援をすべて行うとすると、当然国内の入管法、労基法に関する説明も行わなくてはなりません。それにはまず説明する側の理解が十分でなくてはいけませんが、法律の専門家でもない人が、1から法律を学んで説明できるようになるためには、相当な労力と時間が必要です。特に入管法、労基法などは細かい修正やルール変更などが行われやすいので、常に最新情報を収集するアンテナを張っておく必要もあります。

通常業務と並行してこうした外国人労働者の支援の準備を行うのが厳しいと感じるのであれば、登録支援機関など専門家の手を借りた方がいいでしょう。

登録支援機関を利用した方がいいケース②:支援責任者の選任が難しい

支援責任者とは、実際に特定技能の外国人労働者の支援を担当する「支援担当者」を監督する立場にある人物のことです。

支援責任者は外国人労働者の主に特定技能外国人の支援計画の作成などがメインとなりますが、支援責任者の選任に当たっては「中立性」が大切です。直接特定技能の外国人労働者の業務を監督する立場にある人物が支援責任者になることはできません。加えて、ケースによっては支援責任者に任命する人物は役員などある程度の役職についている人でないと認められないこともあるので、注意が必要です。

登録支援機関を利用した方がいいケース③:中小企業で専任の担当者を選任できない

②の支援責任者の選任とも関連しますが、支援責任者の「中立性」は、直接監督の立場にない人物でも引っかかる場合があります。例えば代表取締役など、組織の隅々まで影響力を及ぼすことができる人物は、仮に直接監督の立場になくとも中立性がないと判断されるのは想像にたやすいですよね。

特に個人で事業を営まれている方や規模が小さい企業では、人員的な要因で特定技能の外国人労働者専任の担当者を用意することが難しいケースも珍しくありません。もし支援責任者などの条件を満たせなければ、特定技能の外国人労働者を雇用することはできないので、「登録支援機関を頼るほかに手はない」ということになります。

まとめ

特定技能の外国人労働者を雇用するためには、彼らが日本で健全に生活できるよう、企業が生活面で様々なサポートをすることが求められます。支援に当たっては法律に基づき、行政が作成したガイドラインに沿った内容にしなければならず、法律に知識のない方や初めて特定技能の外国人労働者を雇用する企業の方にとってはハードルが高いのも事実です。

そのようなときは特定技能の外国人労働者の支援を登録支援機関に委託することも考えてみましょう。費用は高くても6万円前後が相場とみておけば安全でしょう。自社で支援のすべてをやろうとすると結果的に人件費がかさんでしまうこともあります。事業の状況に合わせて自社で支援するか委託するかを決めるようにしてください。

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