特定技能

特定技能へ変更するには?留学や技能実習から変更する条件や必要書類

高野国際行政書士事務所/外国人材紹介エージェント Global Village
代表 高野 大輔(たかの だいすけ)

商社とメーカーで海外営業15年を経て、地元茨城県で国際行政書士として起業。人手不足という地域課題を解決するべく、茨城特定技能サポートセンターを運営。外国人実習雇用士。

高野 

特定技能ビザは、2019年4月に新設された在留資格です。現在、すでに「留学」の在留資格ビザや「技能実習生」として在留資格を得ている方が、日本の企業に就職する場合、特定技能ビザに在留資格を変更しなくてはなりません。

今回は留学や技能実習から特定技能へ変更するときに必要になる条件や必要書類について解説します。

特定技能への在留資格変更とは

そもそも特定技能ビザへの変更というものは、どのような場面で必要になるのでしょうか。

外国人の方が日本国内に在留する方法はいくつかあります。代表的なものは留学ビザや技能実習ビザなどです。これらは日本政府が外国人に対して「あなたは日本にいてもいいですよ」と許可を与えるものです。

しかし、ビザには取得した目的以外の活動はしてはいけないというルールがあります。つまり外国人の方が日本の企業に就職しようと思った際には、仮に日本に滞在していても就労活動が可能なビザに切り替える必要が出てきます。

特定技能ビザへ変更が必要なケース1:留学した流れのまま日本企業に就職する

留学ビザは日本で教育を受けることを目的としている外国人に発行されるものです。そのため、勉強・教育の範囲に属さない就労活動は認められていません。所定の手続きを踏み、「資格外活動」の許可を取得すればアルバイトなどを行って収入を得ることはできますが、週28時間以内という制限が設けられています。

留学生として日本の学校に通い、卒業後にそのまま日本国内の企業への就職を希望する場合、就労資格を得られる「特定技能ビザ」に切り替える必要が出てきます。

留学ビザか特定技能ビザへの変更は難航しがち

留学ビザから特定技能ビザへの変更は、手続さえ問題なくクリアできれば難しいものではありません。ところが現実として、留学ビザから特定技能ビザへの変更に難航してしまうケースが多くあります。

原因はアルバイトなどの時間が既定の「28時間以内」を超えてしまっていることが多いためです。変更手続き時に発生する審査で、この事実が発覚すると「素行不良」に該当してしまい、日本に在留し続けるのに相当ではないと判断され、特定技能ビザの取得ができません。

特定技能ビザへ変更が必要なケース2:技能実習生として活動し、そのまま日本企業に就職する

技能実習生は日本で働いているというイメージが強いため、技能実習ビザでも日本の企業に就職するときに特定技能ビザへの変更が必要というのは違和感を覚える方もいると思います。しかし実際のところ、技能実習ビザと特定技能ビザは全く性質が異なります。

技能実習ビザの目的は日本で技能を習得すること

技能実習ビザは発展途上国の外国人労働者に、日本の技術などを習得して帰国してもらうことで、母国の産業発展に貢献することを目的とした、国際的な取り組みです。そのため、技能習得後は母国に帰国することが前提となっていて、実習終了後に日本国内で就労を続けることはできません。実習終了後に日本企業に就職するためには、やはり特定技能ビザへの変更が必要になるのです。

技能実習ビザから特定技能ビザへ変更するときは業種を要確認!

特定技能ビザを取得するときは、技能試験を受験しなくてはいけません。なぜなら、特定技能ビザは相当程度の専門知識があって、即戦力として活躍できる能力を有している外国人労働者に許可されるものだからです。一定程度の能力を証明できなければ特定技能ビザは下りないようになっています。

しかし、技能実習生時代に行っていた業務とこれから特定技能で行う業務に関連性の如何によっては技能試験が免除されるケースもあります。技能試験を免除されるのかどうかは、申請する前に確認しておくようにしましょう。

特定技能ビザへ変更が必要なケース3:「特定活動」から日本企業へ就職する

日本に在留するためには、様々な資格が設定されていますが、近年来日する外国人の活動は一層多様化してきています。そこで「経営・管理」や「技術・人文知識・国際業務」などの区分に該当しない「その他の活動」を網羅することが本来の特定活動の意義です。

基本的に特定活動から特定技能ビザへ変更することはありませんが、例外もあります。

それが有事の際の特例措置として特定活動を取得した場合です。

例えば、留学ビザから特定技能ビザへの変更手続きに関わる書類を期限内に用意できない場合や、近頃では新型コロナウイルス感染症の影響で技能実習生としての仕事を解雇された場合などです。一時的に特定活動の資格を取得し日本に滞在できる状態を維持して、その後特定技能ビザへ変更します。

特例措置の特定活動は特定技能ビザを取得するための準備期間

特例措置の特定活動の最終的なゴールは特定技能ビザを取得し、正式に日本に残留する資格を得ることです。特定活動で許可された在留期間は、必要書類を用意したり、特定技能ビザを取得するための技能を身に着けたりする時間に充てるようにしましょう。

特定技能ビザを取得に必要な条件

特定技能ビザの取得に必要な条件には外国人本人が満たさなければいけない条件と雇用する企業が満たさなければいけない条件の2つがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

外国人本人が満たさなければいけない条件

特定技能には特定技能1号と特定技能2号があり、外国人本人が満たす条件には「基本的なもの」と「特定技能1号」「特定技能2号」で異なります。

特定技能で基本的に満たさなければいけない条件

外国人が満たすべき基本的な条件は次の8つです。

① 18歳以上であること

② 健康状態が良好であること

③ 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること

④ 保証金の徴収等をされていないこと

⑤ 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること

⑥ 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること

⑦ 食費、居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり,明細書その他の書面が提示されること

⑧ 分野に特有の基準に適合すること

特定技能1号の場合に満たすべき条件

特定技能1号の場合、上記に加えて次の2つの条件も満たす必要があります。

① 必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること(ただし,技能実習2号を良好に修了している者であり,かつ,技能実習において修得した技能が,従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められる場合は,これに該当する必要がない)

② 特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

特定技能2号の場合に満たすべき条件

特定技能2号は、1号よりもより熟練した技能を持っている外国人労働者が取得することができる資格です。そこで次の2つの条件を満たす必要があります。

① 必要な技能を有していることが,試験その他の評価方法により証明されていること

② 技能実習生の場合は,技能の本国への移転に努めるものと認められること

企業が満たさなければいけない条件

特定技能の変更に当たって企業が満たすべき条件には「雇用契約に関するもの」「企業体制に関するもの」「支援体制に関するもの」の3つがあります。

雇用契約に関する企業が満たすべき条件

雇用契約に関して、企業が満たすべき条件は9つあります。

① 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること

② 所定労働時間が,同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること

③ 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること

④ 外国人であることを理由として,報酬の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,差別的な取扱いをしていないこと

⑤ 一時帰国を希望した場合,休暇を取得させるものとしていること

⑥ 労働者派遣の対象とする場合は,派遣先や派遣期間が定められていること

⑦ 外国人が帰国旅費を負担できないときは,受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること

⑧ 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること

⑨ 分野に特有の基準に適合すること

企業体制に関して企業が満たすべき条件

企業体制に関して、企業が満たすべき条件は13に上ります。見落としがないように注意しましょう。

① 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること

② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと

③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと

④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと

⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと

⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと

⑦ 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと

⑧ 支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと

⑨ 労働者派遣の場合は,派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められる者であるほか,派遣先が①~④の基準に適合すること

⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること

⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること

⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと

⑬ 分野に特有の基準に適合すること

支援体制に関して企業が満たすべき条件

支援体制に関して、企業が満たすべき条件は7つあります。

① 次のいずれかに該当すること

ア 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。以下同じ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり,かつ,役職員の中から,支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可)

イ 役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有するものの中から,支援責任者及び支援担当者を選任していること

ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で,役職員の中から,支援責任者及び支援担当者を選任していること

② 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること

③ 支援状況に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと

④ 支援責任者及び支援担当者が,支援計画の中立な実施を行うことができ,かつ,欠格事由に該当しないこと

⑤ 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと

⑥ 支援責任者又は支援担当者が,外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること

⑦ 分野に特有の基準に適合すること

特定技能ビザに変更する時の必要書類

特定技能ビザへの変更に必要な書類は、全業種で共通のものと、業種ごとに異なるものとがあります。

まず共通で必要となるのは次の3つ書類です。

1.在留資格変更許可申請書

2.写真(縦4cm×横3cm)

3.申請人のパスポート及び在留カード

また、加えて特定技能ビザの取得に際して必要になる様式も提出しなくてはいけません。

必要になる特定技能の様式は下記を参照してください。

参考|出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式)

特定技能へ変更する際に注意すべきポイント

まず申請から審査に50日程度の時間がかかるということです。ここにさらに必要書類を揃えて作成もこなすということを考えると、特定技能への変更手続きにかかる時間はトータルで4か月から5か月ほどにも及ぶこともあります。

これに加えて出入国在留管理庁の繁忙期となる1月から3月の期間は手続が滞ることもあり、在留期限ぎりぎりで手続きを進めていると、審査が終了する前に在留ビザが切れてしまうケースも考えられます。

なるべく繁忙期を避けて、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。

まとめ

特定技能ビザへの変更をするケースは「留学生から」「技能実習生から」「特定活動から」など、様々なことが考えられます。

変更手続きに当たっては外国人労働者自身が満たすべき条件と雇用する企業側が満たすべき条件の2つがあります。不備が発覚して「在留期限が過ぎてしまった!」ということがないように、きちんと条件を満たしているかどうか確認してから申請するようにしましょう。

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